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ワイヤー矯正の仕組みとは?移動方法の種類やメリット・デメリットも紹介

ワイヤーによって歯に力をかけて移動させるワイヤー矯正は、歯列矯正の中でも代表的な方法として知られています。

歯列矯正は噛み合わせの悪い歯をきれいに並べ替える治療ですが、移動する歯に合わせて顎の骨の形や周囲の組織にも変化が見られます。

この記事では、ワイヤー矯正で歯が動く仕組みや矯正装置の種類、矯正の方法や移動方法、メリット・デメリットについて紹介します。

ワイヤー矯正の仕組みを知ると、時間がかかる理由や定期的な通院の重要性に対して理解が深まります。

効率的な矯正を進めるための参考にしてください。


■ワイヤー矯正の仕組みとは

ワイヤー矯正は、歯に装着したブラケットと呼ばれる矯正器具にワイヤーを通し、動かしたい方向へ歯に持続的な力をかける矯正方法です。

月に一度程度の通院で、ワイヤーの太さを変えたり、特定の形に曲げられたワイヤーに交換したりするなどの調整を行い、徐々に歯を移動していきます。

症状や希望に応じて方法を選択しますが、歯を動かす仕組みはマウスピース矯正もワイヤー矯正も、根本的には同じです。

ワイヤー矯正の仕組みについて、歯が動く流れに沿って紹介します。

1.矯正装置で歯に力をかける

ワイヤー矯正では、ワイヤーが元に戻ろうとする力やワイヤーのしなりを利用して、歯を動かしたい方向へ力をかけます。

歯列矯正で歯を動かすときは、以下のような歯の根やその周りに存在する歯周組織に働きかけます。

歯根 歯茎に埋まっている歯の根
歯冠部 歯茎から見えている歯の上の部分
歯槽骨 歯根がはまっている、顎の骨の一部
歯根膜 歯根と歯槽骨の間をつなぐ、繊維状の薄い膜

ワイヤーで力をかけることは、これらの歯周組織に影響を与え続けることになります。

2.歯根膜の厚さが変わる

ワイヤーで力をかけると、歯根膜にその力が伝わって、厚さが変化します。

歯根膜は繊維状で弾力のある組織で、噛む際の衝撃を和らげるクッションの役割を担っていますが、ワイヤー矯正で力が加わると、歯根膜には次のような変化が起こります。

歯を動かす方向の歯根膜 歯根と歯槽骨に挟まって圧迫され、歯根膜が薄くなる
反対方向の歯根膜 歯根が歯槽骨から引き離され、歯根膜が引き伸ばされ厚くなる

このように、歯根膜の厚さが変わると、歯根膜は元の厚さに戻ろうとします。

3.歯根膜の厚さを元に戻そうとする

歯根膜には、一定の厚さを保とうとする特徴があるため、厚さが変化すると骨代謝が活発になり、以下の2つの細胞が重要な役割を果たします。

破骨細胞の活発化 圧迫される歯根膜を元の厚さに戻すため、歯の移動先の歯槽骨を溶かしてスペースを作ろうとする
骨芽細胞の活発化 引っ張られて厚くなった歯根膜を元に戻すため、歯の移動でできる隙間に新しい骨を作ろうとする

この2つの骨細胞は常に活動していますが、ワイヤー矯正で歯根膜に一定の力が伝わると、膜の厚さを元に戻そうとして活性化し、歯が動こうとする方向に向かって骨代謝を促します。

4.歯槽骨の形が変わる

ワイヤーによって歯に力をかけると、「骨を溶かす」「骨を作る」という2つの骨代謝によって、顎の骨の一部である歯槽骨の形が変わっていきます。

すると歯根膜の厚さが元に戻り、歯が安定します。

この一連の仕組みを、定期的な調整を行いながら繰り返すことで、歯が理想的な位置へと移動し、噛み合わせが改善するのが、ワイヤー矯正です。


■ワイヤー矯正の装置の種類

ワイヤー矯正の装置は、ブラケットと呼ばれる歯の表面に接着する装置と、それに通すワイヤー(アーチワイヤー)によって成り立っています。

また、ワイヤーだけでは難しい移動に使用する補助装置もあるなど、ワイヤー矯正の装置のバリエーションは豊富です。

ここでは、ワイヤー矯正に使用される装置の種類について紹介します。

ブラケットの種類

ブラケットは歯の表面に接着する装置で、これにワイヤーを通して力をかけます。素材により耐久性や見た目などが異なり、さまざまな種類があります。

ワイヤー矯正に使用されるブラケットの一例は以下の通りです。

矯正装置の種類 用途・特徴
メタルブラケット
  • 一般的なブラケット
  • 目立つ
  • 値段を抑えられる
  • 強度や耐久性に優れる
プラスチックブラケット
  • 透明で目立ちにくい
  • 強度や耐久性がメタルに比べて若干劣る
  • かけられる力が弱いため、治療期間が長くなりがち
セラミックブラケット
  • 陶器製で、色や透明感が歯に近い
  • 変色しにくい
  • 硬度や耐久性に優れる
  • 費用が高め
リンガルブラケット 歯の裏側に装着するため、細かな調整が難しく、症例が限られる

ブラケットの溝にワイヤーを通すことで曲がったワイヤーが、元に戻ろうとする力を利用して歯の矯正を行います。

審美性を優先する場合や、重度の症例の矯正に耐える強度が必要な場合など、患者さんの希望や症状に合わせて選択します。

ワイヤーの種類

ブラケットの他にもうひとつ、ワイヤー矯正に必要なメインの装置としてワイヤーがあります。

ワイヤー矯正に使用されるワイヤーの一例は以下の通りです。

色や素材・形状の種類 用途・特徴
ニッケルチタンワイヤー
  • 金属色
  • 形状記憶の特性を持つ
  • 治療初期に使用されることが多い
  • 耐久性があり経年劣化しにくい
ステンレススチールワイヤー
  • 金属色
  • 治療の中盤で使用される
  • 抜歯症例で隙間を閉じる強い力をかけるときに効果的
βチタンワイヤー
  • 金属色
  • 終盤に使用される
  • 強度と柔軟性がある
  • 金属アレルギーリスクが低め
ゴールドワイヤー
  • 金合金のコーティングは剥がれにくい
  • 肌色になじむため目立ちにくい
  • やや高額
ホワイトワイヤー
  • 白い樹脂でコーティング
  • 目立たないが、塗料が剥がれることがある
  • 高額になりがち
ラウンドワイヤー
  • 断面が丸い
  • 細いほど弱く痛みが少ないため、治療初期に使用される
角(スクエア)ワイヤー
  • 断面が長方形
  • 中盤〜終盤の調整に使用して強い力をかける

この他にも太さの違いもあり、細いワイヤーは歯をゆっくり動かす治療の初期に使用され、強力な力での微調整が必要な終盤の治療では太いワイヤーが使用されることが多いです。

ワイヤーも種類がさまざまですが、用途や治療経過に合わせて選択されます。また、ブラケットとの組み合わせは医師が決定します。

補助装置の種類

ブラケットやワイヤーにはさまざまな種類がありますが、メイン装置だけでは難しい複雑な移動が必要な症例では、ゴムやバネなどの補助装置を使用する場合があります。

ワイヤー矯正で使用される補助装置の一例は以下の通りです。

補助装置 役割・特徴
顎間ゴム
  • 小さな輪ゴムを上下のブラケットにかけて使用
  • 上下歯列の前後関係の改善や、歯を引っ張り出す際に使用
エラスティックチェーン

(パワーチェーン)

  • ゴム素材のチェーンの収縮力で歯を移動
  • 前歯の後方移動・隙間の閉鎖・沈んでいる歯を引っ張り出す・ねじれを治すなどに使用
リガチャーワイヤー
  • ブラケットとワイヤーをしっかり固定する細いワイヤー
  • 回転や歯体移動(歯を傾けない横移動)の精度が上がる
アンカースクリュー
  • 顎の骨に埋め込んで支点とする
  • 使用後に撤去
オープンコイルスプリング 歯が重なっている場合やスペースが必要な場合に、圧縮して装着
クローズコイルスプリング 抜歯後や隙間を閉じる場合などに、伸ばした状態で装着
拡大床 歯列弓(歯列の弓なり)を拡大する場合に使用
ギシグー ワイヤーやブラケットが口内に障って粘膜や歯茎が痛むときの保護用粘土

補助装置を使用することで、複雑な噛み合わせ異常の改善の他に、治療期間の短縮や歯への負担軽減が期待できるため、歯科医師が治療計画に応じて適切に選択し、併用します。


■ワイヤー矯正の方法の種類

ワイヤー矯正は、矯正装置を付ける場所の違いによる方法の種類がいくつかあります。

ワイヤー矯正の方法の種類を紹介します。

表側矯正

表側矯正は唇側矯正ともいい、歯の表側にブラケットとワイヤーが装着される方法です。

外科手術を伴うような保険適用治療の場合にも用いられる一般的な方法で、適応症例の範囲が広く、さまざまな歯並びに対応できます。

表側に装着するため、発音に影響が及びにくい反面、金属色の場合は目立ちやすいというデメリットがあります。

裏側矯正

裏側矯正は舌側矯正とも呼ばれ、歯の裏側に矯正装置を装着する方法です。

装置が見えにくいため、見た目が気になる患者さんに選ばれています。

一方で違和感を感じやすく、発音にも影響が及ぶことがあります。

また、装置の取り付けや調整の際に、表側矯正より高度な技術が必要となるため、高額になりがちだったり、対応できない症例があったりするため、選択を希望する場合は確認が必要です。

ハーフリンガル

ハーフリンガル矯正は、上顎が裏側矯正で、下顎が表側矯正という方法です。

上の歯は裏側に装着されるため目立ちにくく、下の歯は表側に装着されるため舌に触れにくく滑舌に影響しづらいという、違和感や目立ちやすさの両方に配慮した装着方法です。

また、上下とも裏側矯正を行うよりも費用が抑えられるメリットもあります。


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■ワイヤー矯正でできる歯の移動方法の種類

歯列矯正が必要な歯並びは不正咬合といい、放置すると虫歯や歯周病、話しづらさや健康への影響などが懸念されます。

さまざまな噛み合わせの症例は、ワイヤー矯正による以下のような6種類の方法によって改善が可能です。

ここでは、ワイヤー矯正でできる歯の移動方法の種類について紹介します。

水平移動

水平移動は歯体移動ともいい、歯冠部(歯茎から見えている部分)と歯根を横方向に水平に動かす方法です。

抜歯後の隙間の閉鎖や、スペース確保、全体的な後方移動が必要な際に行います。

歯列矯正ではよく見られる移動方法ですが、力をかけられるのは歯冠部分のみのため、正確かつ綿密で、しっかりした力をかけることが必要です。

傾斜移動

傾斜移動は、歯根を動かさずに歯冠部のみを移動させ、歯を傾ける方法です。

歯が抜けた後に放置したことで横の歯が倒れ込んでいる場合や、外側や内側に歯が傾いているときなどに行います。

特に出っ歯の矯正時に活用される移動方法です。

回転

回転は、歯がねじれている場合に、正しい歯並びに噛み合うよう逆方向に回転させる方法です。

歯の中心となる支点に対して上手く力をかけて回転するため、技術が必要です。

矯正によって回転を改善すると、歯と歯槽骨の間にある歯根膜によって元に戻ろうとする力が働きます。

その力に対抗するため、治療期間が長引く傾向があります。

挺出(ていしゅつ)

挺出は、歯根を歯茎から引っ張り出す方法です。

歯周病で周囲の骨が下がっている場合に高さを出す場合や、他の歯より短く見えたり歯茎に埋まっていたりする場合に行います。

歯の移動方法では比較的容易とされます。

圧下(あっか)

圧下は、歯茎から伸び出ている歯を、歯茎方向に押し込んで歯槽骨に沈ませる方法です。

上の前歯が下の前歯に被さっている(過蓋咬合)場合や、奥歯などで噛み合わせの負担が高い歯を調整する場合などに用います。

歯の移動方法では難易度が高い方法です。

トルク

トルクは垂直回転ともいい、歯冠部を中心に歯根を動かすため、歯冠部の位置を動かさずに歯の向きを変える、歯根を移動する方法です。

出っ歯でさらに過蓋咬合の場合や、矯正後に後戻りを防ぐ場合に行われます。

ワイヤー矯正の場合、ワイヤーをねじることで実現しますが、細かいコントロールや高度な技術が必要です。


■ワイヤー矯正のメリット・デメリット

ここでは、ワイヤー矯正のメリットやデメリットについて紹介します。

症例によっては患者さんが矯正方法を選択できる場合があるため、参考にしてください。

ワイヤー矯正のメリット

ワイヤー矯正のメリットは以下の通りです。

  • 他の矯正方法では難しいケースも対応できる
  • 歯の大きな移動または細かい調整が可能
  • 装着し忘れの心配がない
  • 装置の耐久性が高い

ワイヤー矯正と比べると、マウスピース矯正の方が得意とする症例もありますが、ワイヤー矯正には適応範囲が広いというメリットがあります。

また、取り外しできない装置であるため、装着時間を自己管理する必要がありません。

ワイヤー矯正のデメリット

ワイヤー矯正のデメリットは以下の通りです。

  • 表側矯正は目立つ
  • 違和感・痛みがある
  • 歯磨きがしづらく、虫歯・歯周病リスクが高くなる
  • 口の中を傷つけやすい

表側矯正は目立ちやすいですが、見た目を気にする場合は裏側矯正も検討できます。

違和感や痛みはマウスピース矯正に比べると強めであり、口の中を傷つけやすいなど、歯が動き始める時期は痛みに関するリスクが高い傾向があります。


■まとめ

ワイヤー矯正は装置によって見た目に影響がありますが、目立ちにくい装置や方法を選ぶことで、審美性を損ないにくい治療も可能です。

また、症例の適応範囲が広く歯を動かす力のコントロール性が高いことは、ワイヤー矯正のメリットです。

名駅大森ピア歯科・矯正歯科では通常のワイヤー矯正の他、以下のような矯正方法も取り扱っております。

  • デーモンブラケットシステム……摩擦が少なく痛みが軽減される
  • インコグニト・WIN……フルカスタムメイドの裏側矯正

これらのワイヤー矯正は、治療期間の短縮効果が期待できると言われています。

またインビザライン(マウスピース矯正)も症例に合わせて4種類のプランを取り扱うなど、選択肢の幅を広くご用意しております。

総合歯科医院であり、虫歯や歯周病の治療・定期検診などトータルに対応する当院にぜひ一度ご相談ください。


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