歯並びが良くないと虫歯になりやすいというのはよく聞く話です。しかし、実はその歯並びを改善するための歯科矯正中は虫歯のリスクが高くなることをご存じですか?
矯正中の虫歯のリスクやデメリットを正しく理解し、事前に対策を知っておくことは、理想とする歯並びを目指す大切な準備となります。
この記事では、歯科矯正中に虫歯になった場合の治療の流れや、矯正が中断されるケース、矯正中の虫歯予防の方法、虫歯を発見したときの対処法などを紹介します。
「矯正歯科では虫歯治療を行っていない」という医院も少なくないため、歯科矯正(歯列矯正)を始める前に知っておきたい基礎知識として、ぜひ参考にしてください。
目次
■歯科矯正中に虫歯になった場合

虫歯は、放置すると進行してしまうため、矯正中であっても発見した虫歯を放置することはしません。
矯正中に虫歯になった場合にはどうするのか、治療方法別の対応や症状によるケースなどを紹介します。
矯正中の虫歯治療は一般歯科で行う
矯正中に虫歯になった場合、矯正歯科でも軽度の虫歯治療に対応できることはありますが、多くの場合は一般歯科で治療を行います。
そのため、虫歯があっても矯正治療をスムーズに進めるためには、一般歯科との連携がとれていることが重要です。
矯正中に虫歯が見つかった場合、まず矯正歯科で装置を外して、一般歯科を受診し虫歯治療を受け、その後矯正歯科に戻り、装置の再装着を行うという流れになります。
ワイヤー矯正の場合
ワイヤー矯正中に虫歯になった場合、虫歯の位置や進行度によっては矯正装置を装着したまま治療が行える場合があります。
しかし、装置が邪魔になる場合は、症状の重症度に関係なく一旦装置を取り外して虫歯治療を行うため、その間、矯正は中断される場合があります。
特に、根管治療(歯の神経の治療)や抜歯が必要になるような重度の虫歯では、多くの場合、装置の取り外しが必要です。
なお、ワイヤー矯正を外す・再装着する場合は医師が行いますが、医院や症例によっては数万円程度の追加費用が発生することもあり、期間と費用の両面で負担が増える可能性があります。
ワイヤー矯正中に虫歯になる原因
ワイヤー矯正中に虫歯になりやすくなる主な原因は、装置の構造上、磨き残しが発生しやすいためです。
ワイヤー矯正はワイヤーをセットするブラケットを歯の一本一本に貼り付けますが、その形状は凹凸が多く、歯ブラシの毛先が届きにくい死角が多くあります。
歯並びが乱れている部分に加え、装置にもその周りにもプラーク(歯垢)が蓄積しやすいため、矯正期間中はこれまで以上に念入りなケアが求められます。
マウスピース矯正の場合
マウスピース矯正中の虫歯は、矯正装置であるマウスピース(アライナー)の着脱が可能であるため、基本的には矯正と虫歯治療を並行できます。
ただし、矯正に使用されるマウスピースは、治療が進んで変化していく患者様の歯列に合わせて、前もって作製されます。
虫歯の進行によって広範囲に歯を削る必要がある場合は、歯の形が変わることで用意していたマウスピースが合わなくなるため、虫歯治療後は再作製が必要です。
ワイヤー矯正と同様に数万円の費用がかかる可能性があるため、契約時に確認しましょう。
マウスピース矯正中に虫歯になる原因
マウスピース矯正中に虫歯になる原因は、以下のようにいくつかあります。
- マウスピースの洗浄が十分行われていない
- 歯が汚れたまま・磨き残しがあるままマウスピースを装着している
- 歯が唾液に触れにくく、唾液の自浄作用が発揮されにくい
マウスピース矯正は、飲食時と歯磨き時にマウスピースを外して歯が磨けるため、適切にケアを行えば、磨き残しによる虫歯には比較的起こりにくいとされています。
しかし、歯に汚れがある状態でマウスピースを装着すると、マウスピースと歯の間で菌が増殖し、虫歯のリスクとなります。
また、唾液には歯を再石灰化(修復)する働きがありますが、マウスピースを長時間装着していると唾液が歯に触れにくくなり、この働きが十分に発揮されにくくなります。
通常より虫歯の進行が早くなる可能性があることを意識しておきましょう。
COなら治療しないで様子を見る場合もある
虫歯には進行度によって5つの段階(CO〜C4)がありますが、最も軽度のCOでは、削るなどの治療を行わず、フッ素塗布とその後の丁寧な歯磨きによって経過観察とすることもあります。
初期虫歯は治療を行わなくても、適切な口腔ケアによって歯が再石灰化し、改善が見込めるためです。
ただし、COの虫歯は自覚症状がほとんどなく、見た目も目立ちにくい白い斑点(ホワイトスポット)のため、矯正装置を外した時にやっと分かる場合もあります。
早期発見するには、矯正歯科だけでなく、一般歯科での定期検診を併用しましょう。
■歯科矯正中の虫歯予防

歯科矯正中に虫歯になると、場合によっては矯正治療を中断したり一般歯科に並行して通院しなければならなかったりと、忙しい思いをするかもしれません。
矯正は長い期間が必要であるため、虫歯治療が原因でさらに期間が延びるのは避けたいところです。
歯科矯正の虫歯予防について紹介します。
正しい歯磨きを行う
正しい歯磨きは虫歯予防の基本ですが、特にワイヤー矯正の場合は矯正装置の形状が複雑で汚れが溜まりやすいため、より丁寧な歯磨きが必要です。
正しいブラッシングの基本は「1本ずつ丁寧に、優しく磨く」です。
歯ブラシを大きく動かすと装置の死角に入り込んだ汚れに毛先が届きにくいため、細かく動かすのがおすすめです。
磨き方だけでなく磨くタイミングも、食後に必ず磨く習慣をつけて、細菌の繁殖を最小限に抑えましょう。
矯正専用の歯ブラシやデンタルフロスなどを利用する
矯正中は矯正専用の歯ブラシやデンタルフロスなど、便利なケアグッズを利用しましょう。
矯正中に役立つ歯磨きグッズの一例を紹介します。
- 矯正用歯ブラシ……2列型・U字型・山型などのブラシ部分が特徴
- ワンタフトブラシ……ヘッドが小さくブラシの先端が尖った形状
- 歯間ブラシ……隙間が広い場合に便利な、ボトルブラシのような形状
- デンタルフロス……巻いてあるタイプと、持ち手がついたタイプがある
- マウスウォッシュ……歯磨きの後に使用
ワイヤー矯正の場合は歯から歯へとワイヤーが渡っていてデンタルフロスが使えないため、フロススレッダー(歯専用糸通し)が便利です。
どれを使用する際でも、装置が破損したり歯茎を傷つけたりする恐れがあるため、力の入れ過ぎには注意しましょう。
マウスピースをしっかり洗浄する
マウスピース矯正の場合は、歯磨きは通常通りで構いませんが、マウスピースの汚れをしっかり落とすよう心がけるのが肝心です。
また、マウスピースは外すたびに水洗いし、着ける度に歯磨きするのが推奨されます。
抗菌作用や消臭作用が高い、マウスピース専用の洗浄剤があるため、定期的に使用すると、汚れが溜まるのを防ぎ、より清潔に保てるでしょう。
フッ素を活用する
歯磨き粉や洗口液にも含まれるフッ素には、以下のような効果があります。
- 虫歯菌の働きを抑制
- 初期虫歯の進行を防ぐ
- 歯質の強化
特に『高濃度フッ素』と記載された歯磨き粉や洗口液は虫歯予防に有効ですが、年齢やお口の状態によって適切な濃度が異なります。
そのため、歯科医師や歯科衛生士の指導のもとで使用することをおすすめします。
定期検診は適切に通う
矯正中に虫歯になると一般歯科で治療を行いますが、虫歯予防も一般歯科のプロフェッショナルに任せましょう。
一般歯科の定期検診では、以下のようなことが行われます。
- 虫歯のチェック(治療歴があれば経過チェック)
- 歯周病のチェック
- 歯茎のチェック(歯周ポケットの状態・出血・炎症・ぐらつきなど)
- 歯垢・歯石取り(クリーニング)
- 歯磨き指導
- 唾液検査
- フッ素塗布
歯磨きでの口腔内の清掃率はおよそ6割といわれており、きれいに磨いているつもりでも、歯ブラシだけではどうしても磨き残しが生じます。
特に虫歯になりやすい矯正中は、虫歯や歯茎の炎症などをなるべく早く発見するのが重要です。
矯正中でも通常の定期検診が行えるため、ぜひ定期的に受けましょう。
虫歯になるような食生活を避ける
虫歯は、飲食物に含まれる糖を栄養として繁殖するため、糖の多いものをよく口にする方は、虫歯になるリスクも高いです。
甘いお菓子やジュースの摂り過ぎや、ダラダラと食べる習慣はなるべく控えましょう。
■矯正前に虫歯を発見した場合

矯正中に虫歯を発見した場合、基本的には虫歯治療が優先です。
矯正装置を装着してから虫歯を発見したり、装着前の虫歯が進行してしまったりすると、通常の虫歯治療と比べて手間がかかるだけでなく、費用もかさむ可能性があります。
歯列矯正を開始した後に悩まされることのないように、先に虫歯の治療を終えておきましょう。
矯正前に虫歯を発見した場合や、虫歯を疑う歯がある場合について紹介します。
COならそのまま矯正治療を始めることもある
矯正前にCOの虫歯を発見した場合、削るなどの治療はせず、矯正治療を開始するケースもあります。
初期段階の虫歯はフッ素を塗布し、適切な口腔ケアを行い歯の再石灰化を促すことで、改善が見込めるためです。
ただし、矯正装置に影響がない場所の虫歯なのか、本当に虫歯なのかなどを患者様自身が判断することはできません。
もし矯正前に虫歯が疑われる歯がある場合は、カウンセリング時に前もって矯正を担当する歯科医師に相談しておきましょう。
虫歯があっても先に矯正相談をする
矯正治療の際に行われる検査では、虫歯の有無や状態を確認することができるため、一般歯科で虫歯治療のための受診を先に行うより、まずは矯正歯科に相談しましょう。
矯正で抜歯が必要な歯が虫歯になっている場合、先に矯正歯科に相談しておけば、抜歯予定の歯の虫歯治療をしなくていいという判断が先にできます。
まず矯正治療の計画を立て、矯正歯科を決めたうえで、それに合わせて虫歯治療を検討する方が、必要のない虫歯治療や時間のロスを減らし、効率的に予定を組むことが可能です。
■矯正歯科と一般歯科を併設している歯科医院がおすすめ

上記でも紹介した通り、矯正歯科では基本的に虫歯治療を行わないため、連携の取れる一般歯科が必要となります。
そのため、矯正歯科と一般歯科を併設している歯科医院を選ぶと、1ヶ所の歯科医院で矯正中の虫歯への対応や虫歯予防のための定期検診まで受けられます。
通院の負担が少なくなるのはメリットといえるでしょう。
歯科矯正の治療後には、歯や歯茎、顎の骨を、矯正によって移動した位置になじませる重要な期間である『保定期間』が必要です。
保定期間では保定装置(リテーナー)を装着しますが、その期間は矯正期間と同等か、それ以上の期間に及ぶ場合もあります。
リテーナーは形状がマウスピースにやや似ており、マウスピースと同様の理由で虫歯になりやすい装置といえるため、保定期間も注意が必要な時期です。
歯科矯正は保定期間も含めて治療といえますが、その長い期間を、矯正歯科と一般歯科に別々に通い続けるのではなく、1ヶ所の歯科医院で済ませられるメリットがあります。
■まとめ
歯科矯正中に虫歯になると、場合によっては矯正治療を中断して治療する必要があるため、費用がかさみ、時間もかかります。
理想の歯並びのためにも、歯科医院と協力しながら矯正治療と虫歯予防の両方をしっかり進めていきましょう。
名駅大森ピア歯科・矯正歯科は、一般歯科と矯正歯科を併設しています。
ワイヤー矯正・ハーフリンガル矯正・マウスピース矯正など、患者様にあった矯正治療を提供しながら、虫歯治療も任せて頂けたらと考えております。
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