歯並びは笑った時の印象を左右しますし、お口のメンテナンス面でも綺麗にしたいと考えている方は多いでしょう。歯並びを改善したいと歯列矯正を検討している方の中には、上の歯だけ歯列矯正することができるのか気になっている方もいるはずです。

歯列矯正の経験がない方はどのように進めるのか、上の歯だけ歯列矯正して影響はないのかなど疑問もたくさんあるでしょう。疑問を解消できないまま歯科医院を受診するのも不安ですし、相談しにくいものです。

そこでこの記事では上の歯だけ歯列矯正が可能なのか解説します。

合わせて上の歯だけ歯列矯正するメリットとデメリット、費用感についてもご紹介します。

これから歯列矯正をしようと考えている方はぜひ参考にしてください。

上だけ歯列矯正は可能？

結論から述べると上の歯だけ歯列矯正することは可能です。一般的には歯列矯正をする場合、上下合わせて治療をおこないます。上の歯だけ歯並びを整えても下の歯との噛み合わせを考慮しなければならないためです。

しかし、下の歯並びは問題ないので上の歯だけ歯列矯正したいと申し出る方は少なくありません。そんな患者様の要望に応じるため、上の歯だけの歯列矯正は可能です。

治療方法も、上下の歯列矯正の場合と異なる点はありません。ワイヤー矯正や部分矯正、マウスピース矯正など、さまざまな治療方法から選択できます。ただ、お口の状態を見たうえで歯科医師が判断します。下の歯の歯列矯正も合わせておこなうべきだと判断された場合は上だけ歯列矯正できない可能性がありますので覚えておきましょう。

上だけ歯列矯正するメリット

基本的には上下合わせて歯列矯正をおこないます。しかし、上の歯だけ歯列矯正することは可能で、絶対にできない対応ではありません。また、上の歯だけ歯列矯正するメリットも存在します。ここからは上の歯だけ歯列矯正するメリットを三つご紹介します。

費用や期間に関するメリットが大きく、治療を受ける方にとっては嬉しいでしょう。上の歯だけ歯列矯正をおこなうことで得られるメリットですのでお口全体の歯列矯正では得られないメリットです。

治療を始める前にどのようなメリットがあるのか把握しておきましょう。

費用を抑えられる

歯列矯正は自由診療のため治療費が高額になりがちです。歯列矯正の治療の中には保険の適用ありで治療を受けられるケースもありますが、厚生労働省が定めた症例に当てはまっている必要があります。そのため、多くは保険適用外となり、自己負担で治療費を支払う必要があるでしょう。

上の歯と下の歯、両方の歯列矯正を進める場合、費用は30〜100万円ほどになります。一方で上の歯のみ歯列矯正する場合は30〜60万円ほどで治療を受けられます。およそ半分くらいの費用で歯列矯正の治療が受けられる点は大きなメリットでしょう。

ただ、費用に関しては人それぞれ異なりますし、矯正器具の調整で通院する回数が多ければその分費用もかかります。上下の歯の歯列矯正をするよりは安く済むとだけ覚えておきましょう。

治療期間が短い

歯列矯正はゆっくりと歯を動かして、正しい位置に歯を導きます。そのためどうしても治療期間が長くなります。矯正器具を付けるため、長期間の治療をしたくないと考える方は多いでしょう。期間の目安としては1年から3年くらいが上下の歯を歯列矯正した場合かかります。個人差がありますのでもっと長く治療しなければならない方もいるでしょう。

一方で上の歯だけ歯列矯正をする場合は早いと半年長くても3年ほどで治療が終わります。これは歯列矯正をおこなう範囲が狭く、お口でトラブルが発生しにくいためです。そのため、上の歯だけであっても虫歯ができてしまったり、歯周病になってしまうと治療に時間がかかってしまうケースもあるでしょう。

先ほども述べたように治療期間に関しては個人差があります。症状や治療方法でも変わってきますので参考程度に覚えておきましょう。

部分矯正よりも広い範囲で治療可能

歯並びや噛み合わせに問題がある場合に歯列矯正をおこないますが、部分的に問題がある場合は部分矯正をおこないます。例えば、前歯の一本だけずれているケースやすきっ歯などが部分矯正に適しています。

しかし、症状の中には部分矯正が難しいと判断される場合もあるでしょう。一箇所だけのすきっ歯ではなく、複数箇所に隙間がある場合は部分矯正では治療できません。そこで上の歯の歯列矯正を選択すると、部分矯正よりも広い範囲の矯正治療が可能なため解決できます。

また、部分矯正をすると、お口全体の歯並びに影響を与える場合があります。歯並びはお口全体のバランスが大切です。そこで部分矯正ではなく、上の歯の歯列矯正を選択すると歯並びに影響を与えない可能性があり、メリットといえます。

上だけ歯列矯正するデメリット

ここまで上の歯だけ歯列矯正をするメリットについて解説しました。費用を安く抑えられたり、比較的短期間で治療を終えられたりと、上の歯の歯列矯正ならではのメリットがあります。

しかし、治療を開始するにあたってメリットだけでなくデメリットも把握しておく必要があるでしょう。メリットとデメリットの両方を踏まえたうえで治療について検討すべきです。

上の歯だけ歯列矯正するデメリットを三つ解説します。今後の治療を検討するうえで把握しておきましょう。

対応医院が少ない

上の歯だけの歯列矯正は可能だとご説明しました。しかし、上の歯だけの歯列矯正に対応している医院が少ない点は大きなデメリットです。自分自身が治療をしたいと考えていても、かかりつけの歯科医院で対応できない可能性が大いにあります。

そもそも歯列矯正は歯並びや噛み合わせの改善をするための治療です。歯並びや噛み合わせはお口全体のバランスでなりたっているため、歯列矯正をするときは通常上下の歯を合わせて矯正治療をします。上の歯だけや下の歯だけなどの対応までしている医院は少ないのです。

どうしても上の歯だけ歯列矯正をしたい場合は対応している医院を探さなければなりません。近くの医院では対応できない可能性があると覚えておきましょう。

噛み合わせが悪くなる可能性がある

部分矯正では歯並びに影響を与えると解説しました。お口の一部のみ矯正治療をすると、他の歯に影響を与える可能性があります。そこで部分矯正できない場合に上の歯のみの歯列矯正をする場合があります。

ただ、上の歯だけの歯列矯正でも下の歯とのバランスが合わなくなってしまう可能性があります。上の歯の歯並びがきれいになっても、下の歯との噛み合わせまで良くなる訳ではありません。噛み合わせが悪いと食事中のストレスを感じてしまったり、発音がしにくくなったりします。一部の歯に余計な力が入ってしまい、健康な歯が欠けてしまうこともあるでしょう。

噛み合わせに不安を感じている場合は歯科医師に相談しましょう。

顔全体のバランス調整が難しい

歯並びや噛み合わせは顔の輪郭と深い関わりがあります。噛み合わせが悪いと、咀嚼したときに余計な力がかかってしまい、顎の筋肉がバランス悪くついてしまう場合があります。その結果、顔全体に歪みが発生します。

上だけの歯列矯正では下の歯との噛み合わせが悪くなる可能性があると説明しました。上の歯と下の歯のバランスがとれていないため、輪郭にも影響が出てくる可能性があります。

上の歯と下の歯の両方を歯列矯正する場合、そういった顔全体のバランスも考えたうえで治療を進めていきます。上の歯のみの歯列矯正では顔全体のバランスまで考慮できない点はデメリットだといえるでしょう。

上だけ歯列矯正をする場合の費用相場

歯列矯正の費用は矯正方法によって変わります。ワイヤー矯正なのかマウスピース矯正なのかで変わりますし、矯正方法はお口の状態により制限される場合もあるでしょう。

また、治療期間が長くなればなるほど費用も多くなります。これも個人差がありますが、自身のメンテナンスによっても変わってくる部分です。メンテナンスを怠り、虫歯ができてしまうとその分治療期間が長引くため、正しいセルフメンテナンス前提で費用についてはご説明します。

これらを踏まえての上だけ歯列矯正した場合の費用相場は30万円前後です。何度も述べているようにお口の状態は個人差があるため相場よりも高くなるケースもあれば低くなるケースもあります。自分自身の予算の関係もあるはずですので歯科医院で費用感については相談してみると良いでしょう。

まとめ

上だけの歯列矯正は可能です。しかし、対応している歯科医院が少なかったり噛み合わせの問題、顔全体のバランスをみて治療を進められないなどのデメリットも多くあります。

費用感が通常の歯列矯正よりも安い傾向があったり、治療期間が短くなったりとメリットもありますが、個人差があるためそこだけを踏まえて検討すべきではないでしょう。

まずは歯科医院を受診し、自身のお口の状態を把握しましょう。そのうえで最適な治療を歯科医師と相談して決めることをおすすめします。