歯列矯正を中学生で始めるのは早い!とお考えの方もいるかもしれません。
しかし、中学生は乳歯から永久歯に生え変わる時期であり、その時期に歯列矯正を行うことで得られるメリットは大きいのです。
この記事では、中学生のうちに歯列矯正を行うメリットや注意点、かかる費用や期間についてご紹介しています。
治療について良い面も悪い面もしっかりと理解してから治療に臨むことが大切です。
歯列矯正を検討しているお子さん、親御さんは必見です。
中学生で歯列矯正するメリット
中学生のうちに歯列矯正を行う場合には、成人と比べてメリットが多いのが特徴です。ここでは中学生で歯列矯正をするメリットを5つご紹介します。
- 治療期間が短く済む可能性がある
- 抜歯の可能性が低い
- 将来的な歯並び悪化を防止する
- 虫歯や歯周病予防に効果がある
- 親知らずを利用した治療ができる
それでは、以下でそれぞれ詳しくみていきましょう。
治療期間が短く済む
中学生が歯列矯正を行う場合のメリットのひとつに、治療期間が比較的短いことが挙げられます。
私たち人間の体では、毎日古い細胞と新しい細胞が入れ替わっています。
これを新陳代謝といいますが、中学生の時期は新陳代謝が活発に行われるのです。
顎骨や歯周組織の新陳代謝が活発な中学生は、大人と比べて歯が動くスピードが速いという特徴があります。
一方、30代以降の大人は身体が成熟しきっており、新陳代謝も子どもほど活発ではありません。
そのため歯は動きにくく、治療に長い期間がかかる傾向にあるのです。
代謝が良く歯が動きやすい中学生の時期に歯列矯正を行えば、治療計画に遅れが生じる心配は少なく済みます。
成人矯正よりも短い期間で治療が完了する可能性がありますよ。
抜歯の可能性が低い
メリットの2つ目に、抜歯の可能性が低いことが挙げられます。
成長過程にあり新陳代謝も活発な中学生頃の子どもは、抜歯をせずとも歯を動かすスペースを確保しやすい傾向にあります。
一方で大人の矯正の場合、歯をきれいに並べるスペースが十分に確保できなければ最大で4本もの歯を抜くことになるかもしれません。
抜歯には、追加料金がかかる場合がある・痛みや腫れの心配があるといったデメリットがありますから、できれば避けたいですよね。
中学生のうちに歯列矯正を始めれば、前述のデメリットの影響を受けることなく治療を進められます。
将来的な歯並び悪化の防止
3つ目のメリットは、将来的な歯並びの悪化を抑制できることだといえるでしょう。
成長期にあたる中学生のうちに歯列矯正を行えば、顎のバランスを整えながら治療を進め、適切な成長へと導くことができます。
この時期に顎骨や歯のバランスを正しく整えることで、将来における抜歯リスクを下げることにも繋がるのです。
また、不正咬合は顎関節症や顔の歪みとも結びついています。
歯列矯正によって不正咬合が解消されれば、肩こりや頭痛なども緩和されるでしょう。
中学生のうちに歯列矯正を始めることは、全身の健康維持にもつながるのです。
虫歯・歯周病予防に効果的
メリット4つ目は、虫歯や歯周病の予防につながることです。
歯が重なったりねじれたりしている場合、歯磨きがしづらいこともあるでしょう。
重なった歯には歯ブラシが届きにくく、そういった部分が多いと虫歯や歯周病のリスクが高まります。
しかし、歯列矯正によって歯並びが整えば、歯磨きがしやすくなるとともに虫歯や歯周病の発症リスクを抑えられます。
また、矯正中は定期的な通院が必要ですから、歯科医や歯科衛生士といったプロによる歯のクリーニングを受けることも可能です。
もちろん日頃の丁寧なセルフケアは必須ですので、継続して取り組んでください。
親知らずを利用した治療
メリットの5つ目に、親知らずを利用した治療が可能であることが挙げられます。
親知らずは歯並びや周囲の歯に悪影響を与える場合があるため、歯列矯正と並行して治療を進めると効果的です。
ただし、親知らずが歯列全体のなかで歯としての役割を果たしている場合、抜歯は不要と判断されることもあります。
また、親知らずが完全に骨の中に埋まっており今後生えてくる可能性が低い場合にも、抜歯は行われません。
このように中学生のうちに歯列矯正を行えば、将来の成長を考慮した、親知らずをも利用する治療が可能なのです。
中学生で歯列矯正する際の注意点
中学生が歯列矯正を行うことはメリットが大きいですが、一方で注意するべき点もあります。注意点を3つ取り上げます。
- 見た目が気になる
- 部活動によっては歯列矯正が制限される
- 引越しによって転医が必要なケースもある
それぞれについて詳しく解説していきます。
見た目が気になる
中学生で歯列矯正を行う場合の注意点として、お子さんが矯正中の見た目を気にすることが考えられます。
中学生は多感であり、周囲からどう見られているか気になる時期でもあるでしょう。
そのような場合は、できるだけ目立たない矯正装置を選ぶことが大切です。
金属は避け、透明なプラスチックを使用した矯正装置や、歯と同色の素材を使用したものを選ぶと良いですね。
ただし、歯科医院ごとに取り扱っている矯正装置は異なりますので、心配や不安がある方は歯科医に相談してみましょう。
部活動によっては要相談
2つ目の注意点は、お子さんの部活動によっては歯列矯正が制限されるという点です。
運動部や吹奏楽部で活動している場合、怪我につながったり、楽器演奏がしづらくなったりすることが考えられます。
もちろん、歯列矯正中だからといって激しい運動や楽器の演奏が禁止されるというわけではありません。
しかし、たとえばサッカーやバスケットボールのように他者との接触がある競技では、ぶつかった際に矯正装置によって口内が傷つく恐れがあります。
また、吹奏楽部に所属している場合、楽器の種類によっては高音が出しにくくなるといったパフォーマンス低下のリスクもあるのです。
トラブルを避けるために、事前に歯科医に相談すると良いでしょう。
引越しによって転医が必要な場合も
注意するべき点として、最後に引越しによる転医が必要なケースを取り上げます。
お子さんの進学や親御さんの転勤などによって引越しが想定される場合は、治療計画の策定を慎重に行わなければなりません。
歯列矯正を最初から最後まで同じ歯科医院で行うことができれば問題はありません。
しかし転医が必要になった場合、さまざまなデメリットが考えられます。
すべての歯科医が同様の治療方針を掲げているわけではなく、また取り扱っている治療器具も異なります。
そのため、思うように治療が進まず、治療期間が長引いたり費用がかさんだりしてしまうリスクがあるのです。
引越しの可能性がある場合は、その旨を事前に歯科医に伝えてください。
引越しの可能性を考慮のうえで、治療開始の時期や治療計画を検討してくれるでしょう。
矯正装置ごとの費用と期間
次に、矯正装置ごとの特徴とかかる費用・期間をご紹介します。ここでは、
- 表側矯正
- 裏側矯正
- マウスピース矯正
の3つについて見てみましょう。
表側矯正
表側矯正とは、歯の表側に「ブラケット」や「ワイヤー」と呼ばれる器具を取り付けて歯を動かしていく矯正方法です。
歯列矯正といえばこの矯正方法を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。
もっともメジャーといえる矯正方法で、多くの歯科医院がこの表側矯正に対応しています。
費用
治療にかかる費用の目安は、50〜130万円程度です。従来の表側矯正では金属を使用することが多くありました。
前述の注意点のように矯正装置の見た目が気になる場合は、歯に馴染みやすい素材を用いたブラケット・ワイヤーを選択することも可能です。
ただし、その場合は費用がやや高額になりますので注意してください。
期間
治療期間は1〜3年程度とされています。ただし、患者様の状態や歯科医院の対応によって期間は異なります。
裏側矯正
歯の裏側にブラケット・ワイヤーなどの装置を取り付けて治療を進めるのが裏側矯正です。
舌側矯正やリンガル矯正とも呼ばれます。
歯の裏側に矯正装置を取り付けるため、表側矯正と比較して目立ちにくいメリットがあります。
ただし、適応症例に限りがあるため、誰もが裏側矯正を選択できるわけではないことを把握しておきましょう。
ご自身やお子さんの症例が裏側矯正で対応できるかどうか気になる方は、ぜひ歯科医に相談してくださいね。
費用
裏側矯正にかかる費用は90〜170万円程度です。表側矯正よりも高度な技術を必要とするため、費用が高い傾向にあります。
期間
一般的には2〜3年程度の治療期間が必要になります。表側矯正と比べて歯を動かせる距離が短いため、矯正期間は長くなりがちです。
マウスピース矯正
透明のマウスピースを歯に装着して、少しずつ歯を動かしていくのがマウスピース矯正です。
表側矯正や裏側矯正と異なり、矯正装置の取り外しが可能という特徴があります。
透明のマウスピース型矯正装置を使用するため、目立つ心配は少なく済みます。
人目が気になる年頃の中学生におすすめの矯正方法です。
費用
費用相場は10〜100万円程度です。近年、部分矯正であれば比較的安い費用で始められるマウスピース矯正が増えてきています。
ただし、全体矯正の場合は60万円〜となることが多いですので、把握しておきましょう。
期間
治療期間は1〜3年程度とされています。部分矯正か全体矯正かによっても期間には差が出ます。
中学生が歯列矯正を始める適切なタイミング
ここまで中学生が歯列矯正する場合のメリットや注意点、費用や期間についてご紹介しました。それでは、中学生が歯列矯正を始める適切なタイミングはいつなのでしょうか?
歯列矯正は、乳歯がすべて永久歯に生え変わったあとに行うのが良いでしょう。
顎の発育を利用して治療を進められます。
ただし、永久歯へ生え変わる時期には個人差があります。
「すべての歯が永久歯に変わったかどうかわからない」といった方もいるかもしれません。
そのようなときは歯科医に相談してみてください。
乳歯と永久歯の生え変わり状況だけでなく、歯列矯正に必要なその他のチェックも行なってくれます。
歯列矯正を検討している方は、永久歯への生え変わりが確認できたら、できるだけ早く治療に取り組むと良いでしょう。
まとめ
以上、中学生で歯列矯正するメリット、注意点、費用と期間についてお伝えしました。メリットは以下の5つです。
- 治療期間が短く済む可能性がある
- 抜歯の可能性が低い
- 将来的な歯並び悪化を防止する
- 虫歯や歯周病予防に効果がある
- 親知らずを利用した治療ができる
また、注意するべき点として以下の3つを取り上げました。
- 見た目が気になる
- 部活動によっては歯列矯正が制限される
- 引越しによって転医が必要なケースもある
中学生の歯列矯正には注意点もありますが、それをカバーするさまざまなメリットがあります。
また、矯正方法にもいくつかの種類があります。
「どれを選べばいいかわからない…」といった方は、ぜひ歯科医に相談してみください。
ひとりひとりに合った矯正方法を提案してくれるでしょう。
この記事を読んでくれたあなたも、歯列矯正を検討してみてはいかがでしょうか?