
歯列矯正中、食べ物が歯や矯正器具に挟まる問題に悩んでいる方は少なくありません。
「この食材は大丈夫」「あれは挟まりやすい」など、一つひとつ確認するのは手間がかかります。
食べやすく挟まりにくい食材の傾向を知っていれば、歯列矯正中の食事が楽になるのではないでしょうか。
この記事では、歯列矯正中の食事のコツや、食べやすい食材などを紹介します。
矯正器具に食べ物が挟まる問題にお悩みの方、おすすめ食材を知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
目次
■歯列矯正で食べ物が挟まる理由
歯列矯正で食べ物が挟まるのは、どのような理由かご存じでしょうか?
ワイヤー矯正の場合とマウスピース矯正の場合、それぞれの理由を詳しく解説します。
ワイヤー矯正の場合
ワイヤー矯正で食べ物が挟まるのは、矯正器具によるものがほとんどです。
歯に装着するブラケット、ブラケットをつなぐワイヤーの間に食べ物が挟まったり、絡まったりすることが多くなります。
歯の表側に矯正器具を装着していると、食べ物が挟まったときに正面から見えてしまい、外食の際は気になってしまうかもしれません。
食後に歯磨きをするのがおすすめですが、難しい場合は口をゆすぐだけでも食べ物を洗い流す効果が期待できます。
ワイヤー矯正(裏側矯正も含む)は、矯正器具を装着すると基本的に取り外せず、治療が完了するまで数年間装着することになります。
そのため、食べ物が挟まるリスクをできるだけ減らす工夫が必要です。
また、裏側矯正は歯の裏側に矯正器具を装着するため、挟まった食べ物が見えづらく、ブラッシングの際に注意が必要です。
マウスピース矯正の場合
マウスピース矯正では、食事の際にマウスピースを外すため、矯正器具に食べ物が挟まることはありません。
ただし、歯が移動する際のすき間に挟まる可能性があります。
歯並びを整えるため、奥歯から順番に歯を動かしている場合、治療の途中で歯と歯の間にすき間ができることがあり、食べ物が挟まりやすいと感じるかもしれません。
歯が並ぶスペースを確保するために抜歯をしたり、歯を削ったりした箇所に、まだすき間があるケースも考えられます。
マウスピース矯正は歯の移動がゆっくりなため、動いている期間にすき間が気になるかもしれませんが、矯正計画通りに歯並びを整えたら、きれいになることがほとんどです。
ただし、マウスピースの洗浄が不十分だったり、口腔のケアが不足していたりすると、虫歯や歯周病のリスクが高まります。
虫歯や歯周病の進行により、歯茎が下がってすき間ができてしまう可能性もあるため、歯列矯正中はセルフケアに気をつけましょう。
■ワイヤー矯正中の食事で注意すること・食べ方のコツ
ワイヤー矯正中の食事で注意することを紹介します。
食べ物が挟まる問題の解決や、矯正器具への負担軽減につながります。
調理方法や食べ方のコツなど、なるべく食事がストレスにならないように、参考にしてください。
調理方法を工夫する
ワイヤー矯正中は調理方法を工夫することで、矯正器具に食材が挟まりにくくなる効果が期待できます。
- 食材を小さくカットする
- 柔らかく煮る・蒸す
- すりつぶす など
特に硬い食べ物は、小さくカットしたり、柔らかくなる調理方法にしたりすると、食べやすくて挟まりにくくなるためおすすめです。
歯列矯正中に肉を食べたくなることもあるかもしれませんが、大きくて硬い肉をそのまま噛むと、食べ物が挟まるだけでなく、矯正器具が外れるリスクもあります。
野菜や果物などを柔らかく煮込んだり、蒸したりして、スープのように調理して食べやすくするのもおすすめの調理方法です。
リンゴや梨のような硬めの果物は、すりつぶしてジュースにする、甘く味付けて柔らかく煮るなどの工夫をしてみましょう。
また、調理方法を工夫することで、挟まりにくい以外にも、歯列矯正に伴う痛みの軽減にも役立ちます。
挟まりにくい食材を選ぶ
ワイヤー矯正の場合は、矯正器具に挟まりにくい食材を選びましょう。
挟まりやすい食材は、以下のようなものです。
- 水菜や小松菜など繊維や長さがある野菜
- えのきだけ、キノコ類
- とうもろこし、しらすなど細かい物
- 繊維質の多い肉や魚、細い麺類 など
歯列矯正中は前歯で噛み切りづらいため、口の中で小さくするのが難しく、噛んでいる間に装置に挟まってしまう可能性があります。
柔らかく煮ても繊維や長さが残る食材は、調理の段階で細かく刻んでおくか、避けるかするのが無難です。
また、ガムやキャラメルなどの粘着質な物は、矯正器具に絡みついてとりづらくなるため、ワイヤー矯正中は避けてください。
食べ方に気をつける
少しずつ小分けにして慎重に食べることにより、口の中で食材を細かくすることができます。
口いっぱいに食べ物を頬張ると、噛み砕きづらくなり、噛む回数も多くなってしまうでしょう。
また、一口の量が多いと、必要以上に噛まなければいけなくなるため、装置への負担にもなりかねません。
小分けにすることで、矯正器具への負担を軽減できます。
正しい歯磨き・口腔ケアをする
歯列矯正中は食後の歯磨きをかかさず、正しいブラッシング方法で磨いてください。
装置のすき間に入りやすい形状の矯正用歯ブラシを使用すると、細かいところまで磨けるためおすすめです。
また、歯列矯正中に虫歯や歯周病になってしまうと、治療を優先させるため、歯列矯正が中断してしまう可能性があります。
虫歯や歯周病予防のためにも、歯ブラシだけでなくフロスや歯間ブラシ、マウスウォッシュなども利用して、丁寧な口腔ケアを心がけましょう。
■マウスピース矯正中の食事で注意すること・食べ方のコツ
マウスピース矯正の場合は、ワイヤー矯正とは異なる点で注意することや、食べ方のコツがあります。
食べ物が挟まるのを防いだり、食べ方について詳しく解説します。
指示された食事方法を守る
マウスピース矯正では、食事の内容についての制限はほとんどありませんが、食事の方法には注意事項があります。
- 飲食するときはマウスピースを外す
- 食事後は必ず歯磨きをする
- 歯磨き後に再装着する など
マウスピースを装着しながら食事をすることはできないため、食事の際はマウスピースを外してください。
食事だけでなく、着色しやすいコーヒーや紅茶、または糖分の多いスポーツドリンクやジュースを飲むときも、マウスピースを外す必要があります。
特に、マウスピースを装着したまま糖分の多い飲み物を飲んだ場合、マウスピースと歯の間に入り込み、虫歯のリスクが高まります。
また、食事の後には必ず歯磨きをして、歯を清潔にしてからマウスピースを装着する流れを守るのが、歯列矯正を計画通りに進めるために重要です。
歯間ブラシ・フロスを活用
マウスピース矯正では、ワイヤーなどの矯正器具がないため、歯間ブラシやフロスが使用しやすいです。
歯が動いているときは、歯と歯のすき間ができやすく、食べ物が挟まったままになってしまうかもしれません。
ブラッシングだけでなく、歯間ブラシやフロスを活用して、食べかすを残さないように気をつけましょう。
歯間ブラシやフロスにはさまざまなサイズや形状があるため、どれを使えばいいのかわからない場合は、クリニックに相談してください。
口腔内の健康に気をつける
マウスピースを長期間装着していると、歯周病、歯茎が痩せるなどのリスクがあります。
歯列矯正中のトラブルを回避するためにも、口腔内の健康には普段以上に注意してください。
日常的なセルフケアはもちろん、定期的に歯科医院でクリーニングを受けるのがおすすめです。
すき間に挟まったまま取れない食べかすも取り除けるのに加え、虫歯や歯周病の予防のためにも、クリーニングで歯垢や歯石を除去しましょう。
矯正計画通りにマウスピースを装着する
マウスピース矯正では、毎日の装着時間を守る、マウスピースを矯正計画の通りに交換するのが重要です。
きちんと計画に沿って装着していれば、歯の移動がスムーズにでき、期間も予定通りに終了できる可能性が高まります。
奥歯から歯を順番に動かす計画の場合、途中ですき間ができることがありますが、矯正が終わると歯列が整い歯と歯の間が狭まる場合もあります。
また、後戻りを防ぐためのリテーナーを指示に従い装着することで、すき間が広がるのを防ぐ効果が期待できます。
それでも食べ物が挟まるのが気になるときは、矯正歯科医に相談しましょう。
■歯列矯正中に避けたい食べ物
歯列矯正中に食べ物が挟まる悩みをお持ちの方は、何を食べたらいいのかわからなくなってしまうかもしれません。
どんな食べ物・食材を避けたらいいのか、特徴を解説します。
挟まりやすい・詰まりやすい食べ物
歯列矯正中に挟まりやすい・詰まりやすい食べ物は、以下のような特徴のものです。
- 細かい粒状のもの(ポップコーン・ブロッコリーなど)
- 小さすぎるもの(イチゴやキウイの種・とうもろこし・しらすなど)
- 硬い豆類(ナッツ類・アーモンドなど)
- 繊維質の多いもの(小松菜やネギ類・繊維質な肉や魚、貝類など)
- 噛み切りにくい長いもの(えのきだけ・もやし・細い麺類など)
- 菓子(クッキー類・スナック菓子など)
矯正器具の間や、歯と歯のすき間に挟まったり、詰まったりしやすい食材は、避けるようにしましょう。
これらの食べ物を食べたときは、食後に歯磨きや念入りなうがいをするようにして、口の中や装置の間に食べかすが残らないように注意が必要です。
矯正器具に絡まりやすい食べ物
ワイヤー矯正の場合、矯正器具に挟まるだけでなく、絡まってしまう食べ物にも注意してください。
繊維質なもの以外にも、粘着質なもの(もち・キャラメル・ガムなど)は、装置に絡みついてしまい、歯磨きをしてもなかなか取れないこともあります。
また、丁寧に磨いたつもりでも、見えない裏側に残ってしまう場合もあり、何が原因かわからないけど不快感が続くことにもなりかねません。
粘着質なものは、歯列矯正中は食べないようにしましょう。
硬い食べ物
噛み切るのに力が必要なほど硬い食べ物は、おすすめできません。
硬いせんべいやするめ、ステーキ肉など、挟まる可能性も高いうえに、過度な力が歯に加わることにより、矯正器具に負担がかかるリスクもあります。
また、フランスパンのような硬いパンは、歯にも負担がかかり痛みがでてしまうこともあります。
矯正器具が故障したり、外れたりするリスクを回避するためにも、歯列矯正中は硬い食べ物は避けてください。
色の濃い食べ物
矯正器具に着色してしまうかもしれないため、色の濃い食べ物は食べないようにした方がいいでしょう。
カレーやミートソース、キムチ、ベリー類などは着色しやすい食べ物です。
コーヒーや紅茶、赤ワインなどの飲み物にも注意しましょう。
透明や白のブラケットを使用していたり、ワイヤー固定にゴムを使用していたりする場合は、着色すると目立ってしまいます。
ただし、着色を気にしなければ、歯列矯正に影響はありません。
■歯列矯正中におすすめの食べ物
歯列矯正中は食べない方がいいものだけではなく、おすすめの食べ物もあります。
制限はありますが、食べれるものの中で食事を工夫して楽しみましょう。
挟まりにくい・詰まりにくい食べ物
避けた方がいい食べ物以外なら、細かく刻む、柔らかく煮るなど調理方法を工夫すればほとんどの物が食べられます。
また、繊維質の多いほうれん草はペースト状にしたり、かたまり肉ではなくひき肉を使ったり、アレンジも可能です。
生野菜が食べたいときは、小さくカットしてドレッシングと混ぜてスプーンで食べるなど、挟まりにくい、詰まりにくい食べ方を工夫してみましょう。
柔らかい食べ物
歯列矯正中は、柔らかい食べ物が特におすすめです。
舌で押しつぶせるほどの柔らかさならば、矯正器具の調整後の痛みを感じやすい時期でも食べやすく、柔らかいものは歯や装置に挟まりにくくもあります。
- 豆腐料理
- 卵料理
- おかゆ・リゾット
- ひき肉料理
- 煮物・煮込み料理 など
この他にも、繊維質の少ない食材を選べば蒸し野菜もおすすめです。
煮物にすると、肉や魚も柔らかくなり、繊維もほぐれやすくなります。
また、ロングパスタは挟まりやすく避けた方がいい食べ物ですが、ショートパスタやうどんなどは噛むのが簡単なためおすすめな食材です。
水分の多い食べ物
水分を多く含む食べ物は食べやすく、矯正器具や歯の間に挟まりづらいです。
- ヨーグルト
- スムージー
- シチュー、みそ汁
- 豆腐
- 卵料理 など
これらの食べ物は歯や装置への負担も軽く、痛みも感じづらいため、歯列矯正中の食事におすすめです。
果物は細かくカットしてヨーグルトと混ぜたり、スムージーにしたりアレンジできます。
また、野菜をはじめさまざまな食材を柔らかく煮込めるシチューやみそ汁は、食べ物が制限されて栄養素が偏るのも予防できるでしょう。
■まとめ
歯列矯正中に食べ物が挟まる問題は、食材や調理方法、食べ方を工夫することで回避が可能です。
挟まりやすい食材や避けた方がいい食べ物を避ければ、歯列矯正中の食事ストレスを軽減できます。
また、丁寧な歯磨きや口腔ケアを行い、食べかすを残さないことも意識しましょう。
歯の痛みを感じにくい食事や、矯正器具への負担を減らす方法も参考にしてください。
おすすめの食材や食べ方のコツを覚えて、歯列矯正中でも食事を楽しみましょう。
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