
子どもの歯並びや噛み合わせを整える方法として、マウスピース矯正が注目されています。
透明で目立たず、マウスピース矯正は快適に治療を受けられる、特に成長期のお子さんに適した治療法です。
この記事では、マウスピース矯正の効果やメリット、種類、注意点について詳しく解説します。
目次
■マウスピースによる子どもの歯科矯正の効果やメリット
マウスピース矯正は、歯並びを整えるだけでなく、顎や顔の発育を促進し、将来の歯科トラブルを予防する効果があります。ここでは、具体的なメリットを解説します。
見た目が自然で目立たない
マウスピース矯正は透明な素材で作られており、装着していてもほとんど目立たないのが大きな特徴です。
特に思春期のお子さんにとって、見た目を気にせず治療を受けられることは大きなメリットとなるでしょう。
従来のワイヤー矯正では金属製の装置が目立つため、学校や友人との交流の中で心理的な負担を感じる場合もありますが、マウスピース矯正ではその心配がありません。
透明な素材は歯にぴったりフィットし、近くで見ても気づかれにくいため、自然な笑顔を保ちながら治療を進められます。
また、治療中でも写真撮影やイベントなど特別な場面で気兼ねなく過ごせる点も魅力です。装置が目立たないことで、お子さんが矯正治療に前向きになりやすくなるでしょう。
痛みが少なく快適
マウスピース矯正は、従来のワイヤー矯正と比べて痛みが少ない点が大きな特徴です。
歯や顎にかかる力が穏やかであるため、成長期の柔らかい骨にも負担が少なく、違和感や痛みを抑えられます。
特にワイヤー矯正では、装置の調整時に強い引っ張りや締め付け感を伴うことがありますが、マウスピース矯正では歯を少しずつ動かす設計になっているため、お子さんにとって快適な治療が可能です。
さらに、マウスピースはプラスチック製の滑らかな素材で作られており、金属ワイヤーやブラケットのように口内を傷つけるリスクがほとんどありません。
口内炎や装置による痛みを気にすることなく日常生活を送ることができます。
食事や歯磨き時に取り外せる
マウスピース矯正の大きな特徴の一つは、取り外しが可能であることです。
食事中や歯磨き時には簡単に外せるため、従来のワイヤー矯正と比べて日常生活への影響が少なく、お子さんの負担が軽減されます。
食事の際には装置を外すため、食べ物が装置に詰まる心配がありません。好きな食べ物を制限なく楽しめるため、成長期のお子さんにとって必要な栄養をしっかり摂取できる点も大きなメリットです。
また、歯磨きやフロスも通常通り行えるため、口腔内を清潔に保ちやすくなります。
装着時間が短いものもある
一部のマウスピース矯正では、1日数時間程度の装着で効果を得られるタイプもあります。
通常のマウスピース矯正では1日20時間以上の装着が必要ですが、短時間の装着で済むタイプは、学校生活やスポーツ活動、習い事などへの影響を抑えられます。
例えば、就寝時や特定の時間帯だけ装着すれば良い場合、日中は自由に過ごせるため、治療中も普段通りの生活を送ることが可能です。
また、スポーツや楽器演奏など、口元に負担がかかる活動をしているお子さんでも、この柔軟な治療法なら安心して続けられます。
装着時間が短いことでお子さんがストレスを感じにくくなり、矯正治療への意欲の維持にもつながるでしょう。
顎や顔の正常な発育を促進
成長期のお子さんでは、顎骨や顔面骨格が発達途中にあるため、この時期にマウスピース矯正を行うことで正常な発育を効果的にサポートできます。
マウスピース矯正は、顎の成長方向をコントロールする役割も果たすため、顔全体のバランスが整い、機能的な噛み合わせを形成することが可能です。
例えば、上顎が狭い場合には拡大装置を併用してスペースを確保し、下顎とのバランスを調整すると、将来的な骨格的な問題を未然に防ぐことができます。
子どもの段階で矯正治療を行うことで、大人になってから必要となる抜歯や外科的処置のリスクを軽減できます。
口呼吸や舌癖などの習慣改善
マウスピース矯正は、歯列を整えるだけでなく、口呼吸や舌癖などの改善にも効果を発揮する治療法です。
例えば、口呼吸は口腔内を乾燥させることで虫歯や歯周病のリスクを高めるほか、睡眠の質低下や免疫力の低下にもつながります。
また、舌が前歯を押す癖は歯並びを乱し、開咬や出っ歯などの原因となる場合があります。
マウスピース装置を装着すると、舌の正しい位置を意識しやすくなり、口周りの筋肉バランスを整えることが可能です。
鼻呼吸への切り替えが促進されるとともに、舌位置が正常化されるため、顔の形や顎の成長にも良い影響を与えるでしょう。
■子ども用マウスピース矯正の種類
子ども向けのマウスピース矯正には、成長期に適したさまざまな種類があり、それぞれの装置が異なる目的や特徴を持っています。ここでは、代表的な種類を解説します。
インビザラインファースト
インビザラインファーストは、子ども向けに開発された透明なマウスピース矯正装置です。
主に6~12歳の混合歯列期(乳歯と永久歯が混在している時期)に適用され、歯並びや噛み合わせを整えると同時に、顎の成長をコントロールします。
透明で目立たないため、思春期のお子さんにも抵抗感が少なく、学校生活にも支障が出にくい点が特徴です。
取り外し可能で、食事や歯磨き時も快適で衛生的です。また、3Dスキャン技術を活用して作製されるため、高い精度で治療計画が立てられます。
プレオルソ
プレオルソは、就寝時と日中1~2時間程度の装着で効果を得られる柔軟な治療装置です。
主に口呼吸や舌癖などの不良習癖を改善しながら、歯並びや噛み合わせを整えることを目的としています。
軽量で扱いやすく、装着時間が短いため、お子さんの日常生活への影響が少ない点が魅力です。また、顎の成長を促進する効果もあり、将来的な抜歯リスクや複雑な治療を回避できる可能性があります。
ムーシールド
ムーシールドは、特に受け口(反対咬合)の治療に効果的な装置です。3~5歳ごろから使用できるため、早期治療に適しています。
就寝時のみ装着することで、舌や口周りの筋肉バランスを整えながら噛み合わせを改善します。
この装置は痛みが少なくて体に負担が少ないため、小さなお子さんでも抵抗なく使用できる点が特徴です。
また、骨格的な問題が軽度の場合には、大人になってからの外科的処置を回避できる可能性があります。
マイオブレイス
マイオブレイスは、口呼吸や舌癖などを改善しながら歯並びや顎の成長をサポートする多機能型の矯正装置です。
就寝時と日中1~2時間程度の装着で効果を得られるため、生活への影響が少ない点がメリットです。
特に筋機能訓練(MFT)との併用が推奨されており、舌や口周りの筋肉バランスを整えることで、正常な発育と健康的な噛み合わせを実現します。
チンキャップ
チンキャップは、受け口や骨格的な問題に対応するための矯正装置です。下顎の成長方向をコントロールしつつ上顎とのバランスを整えることで、正しい噛み合わせを形成します。
特に骨格的な問題が原因となる症例に有効であり、大人になってから必要となる外科手術や複雑な矯正治療の予防が期待されます。
主に就寝時に使用するため、お子さんの日中活動への影響はほとんどありません。
■子どもの矯正(小児矯正)は何歳まで?
小児矯正は、子どもの成長期を活用して歯並びや噛み合わせを整える治療で、大きく『1期治療』と『2期治療』に分けられます。ここでは、それぞれのタイミングや目的、内容について詳しく解説します。
1期治療:5~12歳まで
1期治療は、乳歯と永久歯が混在する『混合歯列期』に行われる矯正治療です。
混合歯列期は、顎の成長が活発であるため、顎骨の発育をコントロールしながら歯が正しく並ぶスペースを確保することが主な目的です。
具体的には、床矯正装置やマウスピース型装置などを使用して顎を広げたり、指しゃぶりや口呼吸などを改善したりできます。
1期治療を適切に行うことで、永久歯が自然に整列する可能性が高まり、2期治療が不要になる場合もあります。
成長には個人差があるため、12歳以降でも状況によっては1期治療が適用される場合があります。
2期治療:12歳以降〜年齢制限なし
2期治療は、永久歯が生え揃った後に行う矯正治療で、一般的には12歳以降から開始されます。
主に歯並びや噛み合わせの細かい調整を行い、整った歯並びと正しいかみ合わせを目指します。ワイヤー矯正やマウスピース矯正など、大人と同じ装置を使用することが多いです。
2期治療には年齢制限がありませんが、成長期を過ぎると顎骨の柔軟性が失われるため、抜歯や外科的処置が必要になるケースもあります。
1期治療で土台を整えておくと、2期治療の負担を軽減できるでしょう。
■子どものマウスピース矯正を選ぶ注意点
マウスピース矯正は、見た目が自然で快適に治療を進められるメリットがありますが、いくつか注意すべき点もあります。ここでは、具体的な注意点を解説します。
装着時間を守る必要がある
マウスピース矯正では、1日の装着時間が決まっており、この時間を守ることが治療効果を得るための基本条件です。例えばインビザラインファーストは、1日20時間以上マウスピースを装着することが推奨されています。
装着時間が短いと、歯が計画通りに動かず、治療期間が延びたり、期待した結果が得られない可能性があります。
子どもの場合、自分で装着時間を管理するのは難しいため、大人のサポートが欠かせません。
具体的には、食事や歯磨き以外の時間はしっかりと装着する習慣をつける必要があります。また、学校や習い事などで外す場合にも、その後すぐに再装着するよう促すことが大切です。
通常は保険適用されない
マウスピース矯正は原則として自由診療に分類され、保険適用外となるケースが多いため、治療費は高額になる傾向があります。
マウスピースの種類や症例によっても異なりますが、一般的には30万~100万円程度の費用がかかります。
ただし、先天的な疾患や顎変形症などの一部の症例では保険適用となる場合もあります。指定された医療機関で治療を受ける必要がありますので、事前に歯科医師と相談しましょう。
また、費用負担を軽減する方法として医療費控除を活用できる場合もあります。
■マウスピース矯正とワイヤー矯正の比較
子どものマウスピース矯正とワイヤー矯正には、それぞれ特徴があり、目的やライフスタイルに応じた選択が重要です。
項目 | マウスピース矯正 | ワイヤー矯正 |
---|---|---|
見た目 | 透明で目立たないため、周囲に気づかれにくい | 金属製のワイヤーが目立つ |
装着の快適さ | 取り外し可能で、食事や歯磨き時に外せる | 固定式のため取り外し不可 |
痛み | 力が穏やかで痛みが少なく、口内を傷つけるリスクが低い | ワイヤー調整時に痛みが生じることがある |
適応範囲 | 軽度~中等度の歯列不正 | 軽度から重度まで幅広く対応可能 |
費用 | 30万~100万円程度 | 50万~120万円程度 |
治療期間 | 1~3年程度 | 2~3年程度 |
管理の必要性 | 装着時間を守らないと効果が出にくい | 固定式のため装着時間を気にする必要はない |
マウスピース矯正は、透明で目立たず取り外し可能な点が大きなメリットです。特に、見た目を気にするお子さんやスポーツ・楽器演奏をするお子さんに適しています。
ただし、装着時間を守る必要があり、親御さんのサポートが欠かせません。
ワイヤー矯正は重度の症例にも対応できる汎用性がありますが、見た目や固定式であることから生活への影響が大きい場合があります。
それぞれの特徴を理解し、お子さんのライフスタイルや歯列状況に合った方法を選びましょう。
■子どものマウスピース矯正についてのよくある質問(FAQ)
子どものマウスピース矯正は、快適で目立たない治療法として人気がありますが、親御さんやお子さんが抱える疑問も少なくありません。ここでは、よくある質問とその回答をまとめました。
矯正治療に痛みはありますか?
マウスピース矯正は、従来のワイヤー矯正と比べて痛みが少ない治療法です。歯を動かす力が穏やかで、段階的に歯を移動させるため、強い痛みを感じることはほとんどありません。
ただし、新しいマウスピースに交換した直後には、軽い圧迫感や違和感を覚える場合がありますが、通常数日で慣れることが多いです。
また、装置自体が滑らかな素材で作られているため、口内を傷つけるリスクも低といえます。
学校生活への影響はありますか?
マウスピースは取り外し可能なため、学校生活への影響も抑えられます。給食の際には装置を外せるため、普段通りの食事が可能です。
また、透明で目立たないため、友人や先生に気づかれにくく、お子さん自身も安心して学校生活を送ることができます。
ただし、体育やスポーツ活動時には装置を外す場合もあるため、その後忘れずに再装着する習慣をつけることが重要です。
マウスピースが壊れたり紛失した場合どうすればいいですか?
万が一マウスピースが壊れたり紛失した場合は、速やかに歯科医院へ連絡してください。
破損した場合は新しい装置の作製が必要になることがありますが、一部のケースでは次のステップ用のマウスピースに進むことで対応できる場合もあります。
また、紛失防止のために専用ケースを活用し、外した際には決まった場所に保管する習慣をつけることが大切です。
特に学校や外出先では紛失しやすいため、お子さんにも注意しておくと安心です。追加費用についても事前に確認しておくと良いでしょう。
■まとめ
子どものマウスピース矯正は、見た目が自然で快適な治療法として注目されています。
透明で目立たず、取り外し可能な特性は、成長期のお子さんにとって大きなメリットです。
名駅大森ピア歯科・矯正歯科では、さまざまなマウスピース矯正を取り入れ、お子さん一人ひとりに適した治療プランをご提案しています。ぜひお気軽にご相談ください。