
一般的に、親知らずが生えるのは10代後半から20代にかけてです。
歯列矯正が終わって歯並びや噛み合わせが整っている状態で、親知らずが生えてきた場合、どのような影響があるのでしょうか。
後戻りする可能性がある場合、抜いた方がよいのか、そのままにしても問題ないのか、迷ってしまうかもしれません。
この記事では、歯列矯正後に親知らずが生えてきたら抜くべきか、対処法を解説します。
歯列矯正の前や途中で親知らずが生えた場合や、注意点、よくある質問なども参考にしてください。
目次
■歯列矯正後に親知らずが生えたら?
子どもの歯列矯正の場合、治療が終わってから数年後に親知らずが生えるケースがほとんどでしょう。
きれいに整えた歯並びや噛み合わせが、親知らずが生えたことで変わってしまうかもしれないと心配だったり、抜くべきなのか迷ったりするかもしれません。
ここでは、歯列矯正後に親知らずが生えたら、どのように対処するかを解説します。
矯正歯科に相談
歯列矯正治療が終わってから親知らずが生えてきたのがわかったときは、矯正歯科に相談しましょう。
後戻りを防ぐリテーナー装着をしている期間はもちろん、通院が終わっている時期でも、親知らずが生えたことによる歯列矯正後の歯への影響を確認する必要があります。
また、親知らずの生え方によって、抜歯をした方がいいか、そのまま残しておくか、対処が異なります。
かかりつけの一般歯科で親知らずを指摘された場合も、歯列矯正をしているならば矯正歯科への相談が必要です。
抜歯した方がいいケース
親知らずを抜歯した方がいいケースは、痛みや後戻りの可能性がある場合です。
元々あった奥歯のさらに奥に、なんとか出てこようとする親知らずの生えてくる力は強く、歯を後ろから押してくるため、痛みがある方もいます。
親知らずが斜めや横向きに生えている場合、元々の歯を押す力が不自然になり、歯並びが崩れてしまう可能性があります。
リテーナーを使用していたとしても、装置に干渉して効果が発揮できなくなるかもしれません。
親知らずの生え方で、痛みが強かったり、歯列矯正により整えた歯列が乱れる可能性があったりする場合は、抜歯を検討する必要があります。
抜歯しなくてもいいケース
歯列矯正後に親知らずが生えても抜歯しなくていいケースは、歯並びに影響がない場合です。
親知らずの生え方が真っ直ぐで、整えた歯並びや噛み合わせに影響がなければ、抜歯をしないでいいと判断することもあります。
親知らず同士の噛み合わせがきちんとしているか、埋まったままの歯がないかも確認します。
親知らずは矯正する?
親知らずを矯正治療することはほとんどありませんが、条件が整った場合には歯列矯正の対象になることもあります。
顎の骨のスペースに余裕があり、他の歯に影響がなく、真っ直ぐに生えている場合、親知らずを動かして機能を持たせるという矯正計画になるかもしれません。
ただし、親知らずのほとんどは斜めや横向きだったり、他の歯に影響を与える生え方だったりするため、歯列矯正による効果が期待できない可能性が高いのです。
そのため、歯列矯正が終わった後に親知らずが生えてきても、改めて親知らずを矯正するよりは、抜歯するかそのままにするかの選択をすることが多くなります。
■歯列矯正前や途中で親知らずが生えたら?
歯列矯正をする前や、歯列矯正中に親知らずが生えてきたら、必要な場合には抜歯することもあります。
どんな場合に抜歯するのか、または抜歯しないのかを詳しく解説します。
歯列矯正への影響を診断
歯列矯正前や、治療中に親知らずが生えることにより、歯列矯正にどのような影響があるのか、矯正医師が慎重に判断します。
歯を移動するためのスペースが確保できるか、他の歯へ力がかかってしまい移動の妨げにならないかなど、親知らずの生え方や位置を見ながら矯正計画を立てます。
親知らずが生えていても、歯列矯正ができないわけではなく、治療は可能です。
矯正計画へどう影響があるかの診断は、CTやレントゲンなどの検査をして、位置や生え方を確認します。
斜めや横に生えていたり、歯茎に埋まっていたりすると、目視だけではわからないため、検査で詳しく調べる必要があります。
歯列矯正に影響があると予測された場合は、事前に抜歯が推奨される場合があります。
また、歯列矯正中に親知らずが生えてきたときは、器具の調整をするタイミングで一時装置を外して中断し、親知らずの検査や抜歯をすることになる可能性もあります。
抜歯するケース
歯列矯正の前に親知らずが生えていて、抜歯するのは以下のようなケースです。
- 歯並びを乱している原因になっている
- 歯を動かすスペース確保
- 位置が悪く歯の移動がしづらい
- 親知らずが虫歯になっている
- いずれ影響があるかもしれないと予測される など
親知らずが斜めや横に生えていて、歯列を乱す原因になっている場合は、そのまま歯列矯正をしても治療が進まなかったり、後戻りの原因になったりするため、事前に抜歯することがあります。
歯列矯正で歯を動かすスペースが足りないときや、親知らずの位置が歯の移動の妨げになるときも、抜歯が必要になるでしょう。
親知らずが虫歯になっている場合、隣の歯にも影響してしまいます。
親知らずの虫歯は治療がしづらい奥の方で、例え虫歯治療をしたとしても、歯ブラシが届きづらく再び虫歯になる可能性が高いため、抜歯をした方がいいケースもあります。
このように、いずれ他の歯に影響する可能性があると予測される場合は、歯列矯正前に抜歯する必要があるのです。
また、歯列矯正中に親知らずが生えてきたときは、矯正計画に影響があると判断されると、歯列矯正を中断して抜歯を優先する場合もあります。
特に虫歯になってしまっていると、矯正器具を外して虫歯治療を優先するため、歯列矯正にかかる期間が長引く可能性があります。
抜歯しないケース
歯列矯正の前や途中で親知らずが生えて、抜歯しないのは以下のようなケースです。
- 今後生えてこないと予想される
- 親知らずが歯として機能している
- スペースに余裕がある など
親知らずが完全に歯茎や骨に埋まっていて、今後生えてくる見込みがないと予想される場合は、抜歯せずにそのままにしておくケースがあります。
真っ直ぐに生えていて噛み合わせに問題ない、すでに奥歯を抜歯していて親知らずが替わりに機能しているなど、不具合がないときも抜歯しないこともあります。
また、真っ直ぐに生えていて他の歯に影響していないのが前提で、他の歯を動かすスペースに余裕がある場合は、抜歯せずに様子を見ることも考えられるでしょう。
ただし、親知らずが生えそろってから歯列矯正に影響があると診断された場合、抜歯することになるかもしれません。
■歯列矯正に伴う親知らず抜歯の注意点
歯列矯正の前や途中、後のすべての時期において、親知らずを抜歯をする場合、いくつかの注意点があります。
いざというときに慌てないためにも、事前に確認しておきましょう。
矯正歯科との連携
歯列矯正を始める前や矯正治療中はもちろん、終了後も、親知らずが生えたときは必ず矯正歯科医に相談しましょう。
かかりつけの歯科医院で親知らずを指摘され、抜歯を提案されたとしても、歯列矯正の状況を説明して、矯正歯科との連携ができるようにしてください。
歯列矯正では、どのように歯を移動していくか、詳しく矯正計画を立てています。
親知らずが生えたことで矯正計画に影響があるかどうか、矯正歯科医が診断する必要があるのです。
抜歯する際に矯正器具を外すのは、矯正歯科でしかできないため、親知らずが生えてきたときは、矯正歯科へ相談してどうすればいいのか確認しましょう。
また、歯列矯正が終わった後に親知らずが生えた場合も、相談なしに抜歯はしないようにしてください。
リテーナーを装着している期間でも、親知らずが歯列にどのような影響があるかは、矯正歯科医に相談するようにしましょう。
費用が自己負担になる可能性がある
歯列矯正に伴う親知らずの抜歯は、保険適用外となります。
歯列矯正は基本的に自費診療のため、歯列矯正の一環として親知らずの抜歯が必要な場合は、保険適用外となるのです。
ただし、親知らずが酷い虫歯になっていたり、歯茎に当たって強い痛みがあったりするときは、保険適用となるケースもあります。
親知らずがどのような状態なのかによって異なるため、よく確認しておきましょう。
治療前・途中の場合、期間が延びることがある
歯列矯正の前や途中で親知らずを抜歯することになった場合、最初に計画していた期間よりも長引く可能性があります。
歯列矯正前に親知らずを抜歯するときは、治療の開始が遅くなります。
途中の場合は、矯正器具を外して親知らずの抜歯をすることになり、一時的に中断しなければなりません。
親知らずを何本抜歯するか、また生え方により抜歯方法も変わってくるため、数ヶ月かかるケースもあります。
■歯列矯正後に親知らずが生える可能性は?
歯列矯正後に親知らずが生える可能性は、年齢によって異なります。
子どもの歯列矯正の場合、歯列矯正が終わって数年経ってから、20歳を過ぎてから生えることもあります。
大人でも歯科検診をしていたり、痛みがあったりして初めて気づくこともあるでしょう。
ここでは、親知らずが生える目安と、生えない場合について解説します。
親知らずが生える年齢の目安
親知らずが生える年齢の目安は、一般的に10代後半から20代です。
成長に伴い親離れして目が届かなくなる年齢に生えてくるという意味で、親知らずという名前になったという説があります。
子どもの場合は、歯列矯正が終わっているであろう年齢でもあり、リテーナーの装着期間が過ぎていたら定期的な通院もなくなり、発見が遅れるかもしれません。
また、大人の場合も、虫歯になって痛んだり、親知らずがうずいたりして歯科医院を受診して、親知らずが生えていることに気づく場合もあります。
歯列矯正を終えていると、親知らずによって歯並びが少しずつ乱れていっても、気づかないかもしれません。
歯並びの後戻りや乱れを防ぐためにも、歯列矯正後も定期検診を受けて、親知らずが生えてきたかを注意して観察しましょう。
親知らずが生えない方もいる
親知らずが生えるかもしれないと覚悟していても、生えてこない方もいます。
歯茎や骨の中に埋もれていて、存在はしていても出てこない親知らずがあります。
痛みがなく、他の歯に影響がない場合は、そのまま様子を見ることが多いケースです。
また、親知らず自体が存在しない方もいます。
歯の形成に必要な歯胚という、歯の元になるものが存在しないため、親知らずが形成されないのです。
4本すべて歯胚がない方や、どこか1本だけない方など、さまざまな症状があります。
■歯列矯正と親知らずについてのよくある質問
歯列矯正と親知らずに関して、よくある質問をまとめました。
不安や疑問がある方は、参考にしてください。
Q:歯列矯正で親知らずを抜歯するベストなタイミングは?
歯列矯正の進み具合や親知らずの状態、矯正歯科医院の判断により、ベストなタイミングは変わってきます。
すでに親知らずが生えている場合は、歯の移動スペースを確保するという理由で、歯列矯正の開始前に抜歯をすることが多いです。
ただし、口腔内の状況や親知らずの生え方により、様子を見ながら歯列矯正を進めるという場合もあり、そのまま抜歯しないかもしれません。
親知らずを抜歯するベストタイミングには個人差があり、人それぞれでいつ抜歯するのがいいのか異なります。
カウンセリングで矯正医師とよく相談して、疑問を解決しながら歯列矯正を進めましょう。
Q:親知らずは必ず抜歯する必要があるの?
親知らずを必ず抜歯するかは、生え方や他の歯への影響により異なるため、抜歯しないケースもあります。
歯列矯正前や途中でも、スペースや歯の移動に問題がなければ、そのままにする場合もあります。
歯列矯正後に親知らずが生えてきた場合も、後戻りしたり親知らずが痛んだりしなければ、抜歯が必要ないかもしれません。
ただし、矯正計画に支障があったり、位置や生え方により他の歯に影響があったりする場合は、抜歯した方がいいこともあります。
親知らずが生えたから抜歯しなければいけないとは限らないため、矯正歯科医に相談してください。
Q:歯列矯正後に親知らずが生えてきたらやり直しになる?
歯列矯正後に親知らずが生えてきた場合、やり直しになる可能性もあるため注意しましょう。
特に子どもの矯正では、矯正治療が終わってから数年経って親知らずが生えることが多く、気づかないうちに後戻りしてしまっているかもしれません。
また、リテーナーを装着している期間でも、親知らずが装置に干渉してしまい、リテーナーの後戻りを防止する効果が減少してしまうこともあります。
一度後戻りをしてしまった場合、親知らずを抜歯しても、動いた歯は元に戻りません。
極端に歯列が乱れてしまった場合は、歯列矯正のやり直しを検討した方がいいケースもあります。
せっかくきれいに整えた歯並びが乱れてしまう前に、親知らずが生えてきたとわかったら、矯正歯科医に相談しましょう。
■まとめ
親知らずは歯列矯正に大きな影響を与えるものです。
親知らずを抜歯することで歯列矯正をスムーズに進められたり、後戻りを防いだりする効果も期待できます。
ただし、歯列矯正をしている方は、親知らずへの対処を必ず歯科矯正医院に相談してください。
抜歯せずに親知らずをそのままにする可能性もあるため、きちんと検査をして矯正歯科医の診断を受けましょう。
名駅大森ピア歯科・矯正歯科では、お子様から大人まで、一般歯科をはじめ歯列矯正や審美治療など、幅広く診療を行っています。
歯列矯正後の定期検診や歯のメンテナンスにも、丁寧に対応しております。
親知らずが生えてきて後戻りが心配な方や、歯列矯正の前に抜歯をした方がいいのか疑問がある方は、お気軽に名駅大森ピア歯科・矯正歯科の矯正無料カウンセリングをご利用ください。